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03月24日
2008年
posted by 川崎 寿 at 12:33 PM
「これまでの講義は、環境科学を広い視野から理解することを中心に勉強してきたけれど、今回は少し個別の話をしよう。最近話題になっているバイオエタノールというのは知っているかな?」

「はい、もちろんです。」

「ほぉ、ニュースをよくチェックしているんだね。えらい。では、エタノールを示性式で表してごらん。」



「はい、簡単ですよ。[tex]\rm{C_2H_5OH}[/tex]です!」

「正解!さすがだね。示性式ということは、ある特定の性質を示す原子の集団であるがあるということだけれど、エタノールはどのような性質を示す化合物の仲間なのかな?」

アルコールです」

「そうだね。アルコールといえば、すぐ思いつくのは・・・」

「お酒です!」

「こらこら、未成年者の飲酒は絶対ダメだよ。
まさか・・・」

「もちろん飲んでなんかいません!ウチのお父さんは毎晩晩酌するので、ビンの表示にアルコールが含まれている割合が書いてあるのを良く見ます。」

「お酒の成分の表示にはアルコール分○○%などと示されているけれど、このアルコールはエタノールなんだよね。」

「バイオエタノールはお酒の中のエタノールとは違うのですか?」

「エタノールというからには、もちろん同じ[tex]\rm{C_2H_5OH}[/tex]だよ。そして、微生物に糖類を食べさせて作るというところも同じ。」

「へぇ~、そうなんですか!」

「バイオエタノールというのは、燃料としての利用を意識した用語なんだね。それに、お酒はエタノールだけでできている訳ではなく、さまざまな成分からなっていて、これらが味や香りなどに大事なんだよ。 バイオエタノールがどうして環境問題と関係するか分かるかな?」

「う~ん・・・『バイオ』ってところですか?」

「答えにはなっていないけれど、いい線をついているね。先ほど、微生物に糖類を食べさせて作るという話をしたけれど、この糖類というのは植物が作ったものなんだよ。このような生物に由来する物質をバイオマスといって、バイオエタノールは、バイオマスからつくられるエタノールで燃料としての利用を意識したもののことを指すんだ。バイオエタノール生産の原料として現在使われている糖類は、サトウキビやトウモロコシから取られたものが中心なんだよ。」

「う~ん、まだ環境との関連が分かりません・・・」

「それでは、植物が動物と違うところは何かな?」

「え~と、運動できないことです!」

「それもあるけれど、他にはないかな?」

「そうだ、光合成することです!」

「そうそう。光合成っていうのは・・・」

光のエネルギーを使って、二酸化炭素と水から糖類と酸素を合成する反応です。」

「そうだね。生物の授業で習ったよね。その二酸化炭素は大気中の二酸化炭素だから、合成された糖類の炭素はもともとは大気中に存在した炭素なんだね。だから、その糖類から作られたエタノールの炭素も、もともとは大気中に存在していたものということになる。」

「そうか!だから、そのエタノールを燃料として使ったときに発生する二酸化炭素はもともと大気中にあったものと言えるんですね。」

「鋭いねぇ。最近、温暖化ガスである二酸化炭素の排出量削減が大きな問題になっているけれど、バイオマスから作られたエタノールを燃焼させたときに発生する二酸化炭素は、もともとは大気中に存在したものと考えることができるので、少なくとも燃焼の過程では大気中の二酸化炭素を増加させないということができる。そこで、二酸化炭素排出削減のための方策のひとつとして注目を集めているというわけなんだよ。」

「よく分かりました。どんどんバイオエタノールを作って、石油や石炭の代わりに使えば良いのですね。」

「いや、話はそれほど単純じゃないんだよ」

「なんでなんですか???」

「とても大事な話だけれど、今日はもうそろそろ時間だ。次回にしよう。」


今回のお話しの続きは環境科学講座第七回に予定しています。

次回は環境科学講座第四回へ続く 



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