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11月25日
2008年
posted by 鈴木 隆之 at 3:32 PM
「先生、こんにちは!お久しぶりです。」

「やあ、本当に久しぶりだね。前回会ったときは夏だったかね。君、何となくイメージが変わったね。」

「そうですか?少しは賢く見えるようになりましたか?」



「、、、そうではなくて、、、。そうだ!君、以前に会った時は真っ黒い顔をしていただろう。」

「ああ、そういうことですか!僕、夏はスキューバーダイビングやシュノーケリングをやっていたので、ほとんど毎日、海で過ごしていましたからね。」

「君は、スキューバーダイビングをやるのか。海に潜るときは日焼け止めを塗るのかい?」

「僕は塗らないですけど、彼女は塗りますよ。な!」

「ええ、でも私だけではなくて、女性は日焼け止めを塗る人が多いです。それが何か?」

「うん、今、その日焼け止めがサンゴを死滅させる原因になっているのではないかといわれているんだよ。」

「詳しく教えていただけますか?」

日焼け止めの成分にはどんなものがあるか知っているかい?」

「よくわからないですけど、要するに紫外線を防止するための成分であることは予想できます。」

「その通りだ。そういう紫外線吸収成分として、ケイ皮酸、ベンゾフェノン、ショウノウなどがある。その他には、防腐剤が入ってるね。」

「それが、サンゴを死滅させる原因というのですか?でも、日焼け止めを塗らずに海に入るなんて考えられません。第一、お肌に良くないです、先生!」

「そ、、そうだな、、。確かにお肌に良くないな、、、。」

「それじゃあ、どうして日焼け止めがサンゴに良くないのかを説明してください!」

「わかったよ。あまりムキにならないでくれるかい。」

「先生、いい加減な説明だったら、女性の敵になりますよ。(怒)」

「(怖)、、、了解しました。なんでも、カリブ海やインド洋、紅海、インドネシア近海の太平洋に生息するサンゴを採集して、1リットルあたり10マイクロリットル(10-5リットル)の日焼け止めを入れて飼育したらしいんだよ。」

「つまり、体積でいうと日焼け止めを海水全体の10万分の1しか入れていないというのですね!」

「(怖)そ、、そうなんだ。そうしたら、4日もしないうちにサンゴが白化した、つまり死滅したというんだよ。もちろん、日焼け止めを入れていない海水を用いた実験もしていて、そちらは健康なままであったとのことだよ。」

「そうですか。それで!」

「(怖)う、、うん。日焼け止めを入れた海水の方はサンゴの表面で共生していた藻類が脱落していて、その色は緑から茶色に変色していたそうだよ。つまり、藻もやられてしまったんだ。さらに詳しく調べると、海水中にはウィルスが多くなっていたとのことだ。」

「そのウィルスとは?」

「もともと、サンゴに共生している藻類にそのウィルスは潜伏しているらしいんだ。日焼け止めの中の化学物質によって、そのウィルスが活性化したのではないかといわれているんだよ。」

「そうですか、、、。あのきれいなサンゴを私はダメにしているんですね。せっかく、免許も取って来年の夏もダイビングを楽しもうと思っていたのに、、、、もう止めます、、、。(悲)」

「や、、止めることはないんじゃないか、、、。そ、そうだ。別の説もあるよ。」

「そ、そうだよ。止めることはないよ。先生、その別の説を!」

「ああ、、、そうだな!その、、あれだ! 我々人間も、疲れて抵抗力がなくなると、風邪をひくだろう。風邪もウィルスが原因なんだから、サンゴも何らかの作用で弱っているとも考えられる。その作用とは、、、、、、。」

「その作用とは!」

「その、、あれだ。温暖化による海水温の上昇や海水の酸性化、それにサンゴにだって紫外線はよくないわけだよ。これらが原因でサンゴにストレスがかかり、ウィルスに攻撃されやすくなっているとも考えられているよ。」

「素晴らしい!先生、それでは、日焼け止め原因説は、その多くの説の中の一つに過ぎないということですよね!」

「そういうことだ。」

「でも、日焼け止めが原因である可能性が消えたわけではないわ。」

「日焼け止めの代わりに、Tシャツを着て物理的に紫外線を防ぐというのはどうだい。それに、最近は紫外線を散乱させるための二酸化チタンや酸化亜鉛の入った日焼け止めもあるよ。これらの日焼け止めは、紫外線散乱剤といわれていて肌にもやさしいよ。」

「では、今まで話題になっていたサンゴにストレスのかかるおそれのある日焼け止めは何というのですか?

それは、紫外線吸収剤の部類に入るね。SPFとかPAで日焼け止めの効果を数値で示しているだろ。」

「ええ、SPF 10とか30もあったかしら。数値が高いほど日焼け止めの効果があるわ。」

「へえ、、そうなんだ。日焼け止めなんて、どれも同じかと思っていたよ。」

「数値によって、効果は全然違うよ。注意しなくてはいけないことは、SPF値やPA値が高いものほど確かに日焼け防止効果は高いけれども、肌にかける負担も大きいということだ。赤ちゃん用の日焼け止めはこれらの値が小さいんだよ。」

「へええ、勉強になったなあ。」

「あなたは何も塗らないんだから関係ないんじゃない。」

「あ、そうか!まあ、、、これで、来年の夏も海に行けるということで、めでたし、めでたしですね、先生!」

「…..。」

次回は環境科学講座第11回へ続く 



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