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09月21日
2010年
posted by 鈴木 隆之 at 5:44 PM
先生、こんにちは。あれ、薬を飲んでるんですか?
そうだ。胃薬だ。
大丈夫ですか?先生! 規則正しい食生活をしていますか?
規則正しいとは言い難いが、少なくともそれが原因とは言えないな。
といいますと?
君かな。
ぼく?、、、ですか???
そうだ。
?????
わからんだろうな。だから、僕は胃が痛くなるんだ。
あ、いいところに来た。先生、胃が悪いんだってさ。
あら、やだ。あなたみたいな気の利かない学生が先生の悩みの種なのよ。
素晴らしい。君のように状況がすぐに飲み込める学生が増えれば、僕は助かるんだがね。それでは、僕の胃痛の原因とも関連のあるpHの話でもしようか。
ピーエイチ?? ペーハーではなくて。
君が高校生の時に習った化学の先生はおいくつ位だった?
僕が卒業する時に、ちょうど定年だと言っていました。それと関係あるんですか?
1957年にJISを制定する際に、ピーエイチと読むようになり、今はピーエッチになっている。ペーハーはドイツ語読みで、比較的年配者がそのように読むことが多いんだ。
そうなんですか。私はピーエイチでした。若い先生でしたよ(ニコニコ)。
そりゃあ、よかったな(怒)。
まあいいだろう。僕の胃の中と同様、河川の水や工場排水なども健全な環境を保つ必要がある。そのため、環境基本法によって水質の環境基準が定められている。この基準には健康項目と生活環境項目があるのだが、pHに関するものは生活環境項目に含まれている。
どの位のpHでなくてはならないようになっているのですか。
厳密には決まっていない。
はああ?? 先生、そりゃないでしょ!! 決めないのなら、法律なんか必要ないじゃないですか!!
「厳密には」と言ったはずだ。ある程度の幅がある。
いい加減な法律だな!
法律はいい加減ではない。基準に幅があるといった方が適切な言い方だ。
どの位の幅があるのですか?
6.5(あるいは6.0)から8.5を地域の状況によってあてはめることになっている。そうそう、pH値は温度によって変化するので、水温も付記しなくてはならない。
先生、そんなに振れ幅があるのに、規定する必要があるんですかね。
君には、困ったな。これでは、僕の胃の中は、常に環境水準から外れっぱなしになってしまう。環境破壊だ。
ところで、先生。pHは、水の数ある環境基準項目の中でも特に厄介だと思うんです。例えば、河川の富栄養化が問題になれば、窒素やリン等の許容排出量を制限すればいいですけれども、殊に、水のpH値に至っては、人為的に何かをするわけでもなく変動してしまうではないですか。
素晴らしい。僕ら教員は、そのように多角的に物事を捉えられる学生がどんどん増えて欲しいんだよ。
pH値は、何でそんなに変動するんですかね。
例えば、夏ならば植物プランクトンの光合成が盛んになる。光合成には、水に溶けている二酸化炭素が使われる。水に溶けている二酸化炭素の量が減れば、水のpHは上昇する。逆のケースでは、火山から二酸化硫黄が多量に放出されると、雨水が酸性化するので、河川の水のpHは下降する。
なるほど。そのような自然現象は人間にはどうにもならないですね。あ、そうか。それで、pH値の基準もある程度の幅をもたせているんですね、先生!
正解だ。自問自答を繰り返してゴールに辿り着けたね。君は立派な研究者になれるかもしれない。
先生、俺はどうですか?この間、結構勉強するようになったと、褒めてくださったじゃないですか。
可能性が0%という者はいない。厳密に言えば。
ってことは、可能性があるということですよね。
その通りだ。
(喜)
先生、ところで、pH値を測る方法は結構ありますよね。私の知る範囲でも、リトマス試験紙、BTB液、フェノールフタレインなどのpH指示薬、それにこの間学生実験でpHメータを使いました。pHメータは数値がしっかりと出てくるので、色が変化する場合と違って迷わずにすみます。
pHを知る方法をそれだけ言えれば十分だ。室温でpH7、つまり中性付近は電流が流れにくいのでpHメータの信頼性があやしくなるのだが、それを補完するために導電率計を組み合わせることもある。そうだ、ちょうどいい機会だがら、復習がてら、君がいま挙げたリトマス試験紙や、BTB液などについて、その色の変化とpH値の対応について詳しく言ってごらん。
はい。リトマス試験紙は水がアルカリ性のときは、…..(中略)……です。
完璧だ。
す、すごいな。全部、覚えてるのか(驚)。
化学系の学生なら、当然といえる。尤も、滞りなくここまでスラスラ言えるのは素晴らしい。君は、今彼女が言ったことを表にまとめてみるといい。そこの机で書いてみなさい。
(焦)
pH値の測定を必要とする場は、結構あると思うのですが…..。
その通りだ。全部を挙げるのは大変だが、君も先ほどスラスラと言ってくれたことだし、僕もそれに応えなくはいけないね。pHメータの活躍するところは、繊維、染色、メッキ、化学、半導体、プラスチック、肥料、セメント、ガラス、医薬、食品、化粧品、醸造、フィルム製造、発電所給水設備、農業の培地管理、公害関係、養殖場などだ。
すごいです、先生。一息でそんなにたくさん。どんな肺活量しているんですか!
研究ばかりでは、体力が衰えてしまうからね。きちんと有酸素運動をして鍛えているんだ。まあそれはいいとして、そのくらい多くの場所でpH値は気にされているんだ。ところで、表はできたかい?
はい!これでどうでしょう!


正解だ。
でしょ、先生!それでは、今日はこれで帰ります。さあ、帰ろうぜ。
そ、そうね。何をそんなに急いでいるのよ。そ、それでは、またお邪魔しますね、先生。
了解だ。











……ん?! おい、忘れ物だ! ああ、行ってしまったか。『高等学校 化学 I 』。……ん! 全く同じ表だ。





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