本文へスキップ

東京電機大学 工学部 応用化学科 Department of Applied Chemistry, Tokyo Denki University (TDU)

研究Research

研究 Research

  • アニオンレドックスを利用した高容量電極材料の探索 (High-capacity positive electrode materials based on anion redox processes)
 化石燃料エネルギー資源は有限であり、将来的な持続可能エネルギー社会の実現のためには蓄電池、特にリチウムイオン電池のさらなる高性能化が求められています。しかし、現在、実用的な観点から既存材料の特性を大きく超えるような本命といえる次世代正極材料が見つかっていないのが現状です。研究室では電極材料設計の原理原則を一から見直し、既存理論の応用ではなく新しい化学を用いた次世代の電極材料を探索しています。



 現在、世界中で燃料電池のように空気中の酸素を電極材料へと利用しようとする試みが活発に行われています。研究室でもこのような多くの研究例と同様に酸素を利用することを考えていますが、視点を変えて酸素を気体ではなく”固体”のまま利用する手法の確立を目指しています (Figure 1)。現在、このような発想の元に新しい材料郡が見つかっており、当研究室で誕生したLi1.2Ti0.4Mn0.4O2という新規材料は、汎用元素から構成された高容量電極材料として電気自動車への応用も期待できます (Figure 2)。このように電機大の学生が見つけた新しい材料を世界へと向けて発信しています。



関連研究成果 (Publications)
"Origin of stabilization and destabilization in solid-state redox reaction of oxide ions for lithium-ion batteries"
Nature Communications, 7, 13814 (2016).

“New High-Capacity Electrode Materials for Rechargeable Lithium Batteries: Li3NbO4-based System with Cation Disordered Rocksalt Structure”
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 112, 7650–7655 (2015).


  • 多電子固相酸化還元反応を利用した高容量電池材料 (Multi-electron redox for rechargeable lithium/sodium batteries)
 高容量電極材料を実現するもう一つの手段として、充放電時における遷移金属イオンの酸化数の変動を大きくすることでも高容量化が期待できます。また、同時に固体中のリチウム含有量を増やすことにより、固体中の遷移金属量を低減させつつ、高容量化が可能となります。実際に、多電子固相酸化還元反応を利用した、長寿命で高エネルギー密度電池材料がこれまでに見つかっています (Figure 3)。



関連研究成果 (Publications)
Lithium-Excess Cation-Disordered Rocksalt-Type Oxide with Nano-Scale Phase Segregation: Li1.25Nb0.25V0.5O2
Chemistry of Materials, 29, 6927–6935 (2017).
DOI: 10.1021/acs.chemmater.7b02343

“Reversible Three-Electron Redox Reaction of Mo3+/Mo6+ for Rechargeable Lithium Batteries”
ACS Energy Letters, 2, 733–738 (2017).
DOI: 10.1021/acsenergylett.7b00037

  • 電力貯蔵を実現する大型ナトリウムイオン電池 (Rechargeable sodium batteries for energy storage applications)
 近年、太陽光や風力発電など自然エネルギーの利用が進みだしていますが、自然は気まぐれであり、自然エネルギーを電気エネルギーとしてを蓄えることを目的とした大型蓄電池が必要とされています。このような電力貯蔵の用途では電池を構成する物質の資源埋蔵量が豊富であることが求められ、希少金属の一種であるリチウムではなく、その代わりとしてナトリウムを用いる研究が世界中で活発に行われています。ナトリウムは日本でも資源が豊富に存在することから、ナトリウムを用いた高エネルギー密度電池は元素戦略という視点からも非常に重要です。研究室ではナトリウムに加えて鉄・クロム・マンガン・チタンなど地殻中の資源が豊富な元素から構成された高エネルギー密度蓄電池の実用化を目指した研究も行っています。

    

 ナトリウムインサーション材料とは電気化学的な反応によりナトリウムイオンを構造中に挿入 (インサーション)・脱離する材料の総称です。結晶構造を巧く制御することによりにリチウムと比較して大きなナトリウムイオンでも急速に固体中に挿入・脱離させることが可能になります(Figure 4)。

関連研究成果 (Publications)
“Layered NaxCrxTi1–xO2 as Bifunctional Electrode Materials for Rechargeable Sodium Batteries”
Chemistry of Materials, 28, 7006–7016 (2016).

“Na-Excess Cation-Disordered Rocksalt Oxide: Na1.3Nb0.3Mn0.4O2
Chemistry of Materials, 29, 5043−5047 (2017).
DOI: 10.1021/acs.chemmater.7b00172

 研究室ではこのようなリチウム・ナトリウムインサーション材料に関する研究を行っており、蓄電池の高性能化・多機能化に取り組んでいます。化石燃料に依存しない持続可能 (sustainable) エネルギー社会の実現を目指し、電機大の学生が主体となり研究を行っています。